臨床薬理の進歩 No.45
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nuoc noaum cnegocnOit1tit543210p0.0690.0140.00410.1590.0360.007610.0210.8880.697PD-L1 TPS50-59 vs ≧6050-69 vs ≧7050-79 vs ≧8050-89 vs ≧900、1 vs ≧20-2 vs ≧30-3 vs ≧40-4 vs ≧510< vs ≧10OMCOMC + CANTMB506070PD-L1 TPS (%)図5 OMC(oncogenic mutation count)とPD-L1 TPSの散布図R:相関係数80901000.1R=-0.0572考  察PD-1阻害剤のPFSとPD-L1 TPS、TMB、OMCとの相関解析 PembrolizumabのPFSとPD-L1 TPS、TMB、OMCとの相関についてCOX比例回帰モデル解析を行ったところPD-L1 TPS≧80%かどうか、OMC≧3かどうかでそれぞれ有意な相関を認めた(図4)。PD-L1 TPSとOMCについては相関を評価したところ、相関係数R=︲0.0572で相関は認められなかった(図5)。PD-1阻害剤のPFSにおける多変量解析 PembrolizumabのPFSと各種臨床因子にPD-L1 肺癌におけるPembrolizumabの治療効果予測の網羅的ゲノムバイオマーカー探索研究TPS、TMB、OMCを加えた多変量解析を行ったところ、PD-L1 TPSとOMCにおいて有意な相関を認めた(p<0.05)(表2)。これら2つの臨床因子を用いて対象症例を4群に分けて、Kaplan-Meier曲線を作成したものを示す(図6)。 本研究ではPD-1阻害剤の新たなバイオマーカーとしてOMCを見出した。OMCは確立されているPD-1阻害剤のバイオマーカーであるPD-L1 TPSとは独立にPD-1阻害剤の効果予測に関わっており、PD-L1 TPSとOMCを組み合わせることで、より正確にPD-1阻害剤が有効な症例群を同定できる可能性が示唆された。また本解析では単一の変異としてTP53変異とERBB2増幅、NFE2L2変異、KEAP1変異を負の効果予測因子として同定しており3)、既にNFE2L2、KEAP1変異はPD-1阻害剤の効果の負の予測因子として確立されたマーカーであり7)、本研究での遺伝子解析の精度とTSO500パネルでの解析ソフトの精度を裏打ちするものと思われる。 癌の発生機序については、大腸癌での多段階発癌をはじめとして、遺伝子変異が複数導入されることで、癌の悪性度が増すことが知られている8)。癌の遺伝子変異の総数のサロゲートマーカーと9797HR0.5490.4380.3320.4742.5552.4482.3011.0481.13595% CI[0.288-1.047][0.227-0.844][0.156-0.706][0.168-1.338][1.065-6.133][1.268-4.724][1.136-4.663][0.546-2.01][0.6-2.153]10図4 PembrolizumabのPFSとPD-L1 TPS、OMC、TMBのCOX比例回帰モデル解析OMC: oncogenic mutation count, CAN: copy number alteration, TMB: tumor mutation burden, HR: hazard ratio, CI: confidence interval

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