臨床薬理の進歩 No.45
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対象と方法関してまだ完全に解明されていない(アメリカの医薬品添付文書)。リツキシマブに関する薬理遺伝学的研究は、主に抗体とのアフィニティに関与するFCGR3A遺伝子多型を中心になされ、リツキシマブの有効性、サンプルサイズは少ないが低ガンマグロブリン血症、そして無顆粒球症との関連性が報告されてきた6,7)。その他、FCGR2A、サイトカインなどに関連するTNFSF13B、IL2、TGFB1、CXCL12遺伝子、また薬物動態・代謝に関わるGSTA1、ABCB1遺伝子などに関して、候補遺伝子アプローチで研究が行われるも8,9)、臨床応用するまでにはまだまだエビデンスが足りていない。また無顆粒球症に関しては、抗甲状腺薬やクロザピン誘発性の有害反応とHLA遺伝子との関連性を示す報告が多数あるも、本薬剤では検討されていない10,11)。また最近、疾患感受性遺伝子研究のみならず薬理遺伝学的研究においてもポリジェニックなバリアントの集積的効果を示すGWASが報告されていること12)、そしてポリジェニック・リスク・スコアの有用性は疾患感受性における関連性と薬剤反応性に寄与する薬理遺伝学的関連性を合わせることにより示される可能性があることも報告されている13)。 本研究では、小児期発症特発性ネフローゼ症候群に対してリツキシマブによる治療を行われ、リツキシマブによって有害反応である低ガンマグロブリン血症・無顆粒球症を来した患者の臨床情報・遺伝情報のデータベースを構築し、網羅的な薬理遺伝学的情報に基づき、リツキシマブによる重症低ガンマグロブリン血症および無顆粒球症の原因関連遺伝子を探索することを目的とした。対象 本研究を始める前段階として、本研究の共著者の一人である伊藤らにより、小児期発症ネフローゼ症候群患者に対しリツキシマブ投与後に発現した重症低ガンマグロブリン血症・無顆粒球症に関する調査研究が行われ、全国51施設から本研究への協力が得られることになった。リツキシマブ投与後に重症低ガンマグロブリン血症・無顆粒球症を生じた、調査研究で発見されたこれらの患者、あるいはそれらの有害反応を来さなかった患者を対象として研究参加に対するリクルートを行い、これまで、低ガンマグロブリン血症患者59名、無顆粒球症患者14名、tolerant control 58名を収集した。本報告書における関連解析に関しては、現時点で利用可能な臨床情報を有する低ガンマグロブリン血症患者34名を症例群とした。対照群は、理化学研究所生命医科学研究センターにおいて利用可能な健康成人をランダムに500名抽出し、対象とした。倫理的配慮 本研究は理化学研究所生命医科学研究センター、横浜市立大学をはじめとする全ての共同研究施設の倫理委員会で審議され、承認を得た上で実施された。全ての研究対象者の保護者もしくは本人(成人患者の場合)に研究に関して説明文書を用いて実施し、文書によるインフォームドコンセントを得た。また7〜15歳までの患者に対してはアセント文書を用いてインフォームドアセントを実施した。遺伝子解析 対象となった患者の血液検体からDNAを抽出し、以下の遺伝子解析を行った。全ゲノムジェノタイピング Infinium Asian Screening Array (ASA) v1.0 BeadChip.により全ゲノムのジェノタイピングを行った。ジェノタイピングデータの品質管理(QC) サンプルのQCとして、(1)サンプルコール率 <0.98、(2)遺伝的に同一、(3)遺伝子型および表現型の性別が不一致、(4)ジェノタイピングしたサンプルと国際ハップマッププロジェクトの3大参照集団(アフリカ人、欧州人、東アジア人)を用いて主成分分析を適用し特定した東アジア集団102

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