臨床薬理の進歩 No.45
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今後の展望利益相反謝  辞症例数に到達しておらず、一部の検体を用いての解析結果であるということである。今後サンプルサイズを増やして検出力を上げていくことで、さらなる領域の同定が期待される。さらに、本研究は今後replicationが必要でもある。しかしながら、少ないサンプルサイズにおいても、ゲノムワイド有意水準をクリアした領域が同定できており、本報告は今後の研究の方向性を決める上でも非常に重要な知見であったと考えている。 本研究の予定人数は、重症低ガンマグロブリン血症100名、無顆粒球症150名、有害反応を来さなかった対照群は100名を予定している。今後も患者リクルートを継続し、GWASに加えて以下の解析を追加する。遺伝子多型解析として、サイトカインなどに関連する遺伝子、薬物受容体などをコードする遺伝子を対象とした候補遺伝子アプローチ、HLAタイピングを実施し、重要なファーマコゲノミクスに関連するバイオマーカーを探索する。さらに、ネフローゼ症候群のポリジェニック・リスク・スコアと薬理遺伝学的リスクバリアントまたはHLAリスクアリルの保有の有無を組み合わせた解析も行う。また、個々の患者についてポリジェニック・リスク・スコアを算出し、低・中・高のレベル別に分類して有害反応リスクを評価する。最終的には、有害反応リスクの層別化が可能なプラットフォームを構築し、小児ネフローゼ症候群に対するリツキシマブの個別化治療の臨床実装に繋げていく予定である。 本研究の実施に直接関連する開示すべき利益相反はありません。 本研究の実施に際して研究費を賜りました公益財団法人 臨床薬理研究振興財団に深く御礼を申し上げます。また、研究にご協力いただいている全国の共同研究施設の先生方、医療スタッフの皆様、患者様、ご家族の皆様に深謝いたします。106

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