*1 KINOSE YASUTO *2 KASUYA KANAKO *3 WANG YAN *4 KOIZUMI MAI *5 NAKAMURA KOJI *6 TODA ASUKA *7 KAWANO MAHIRU *8 KODAMA MICHIKO *9 HASHIMOTO KAE *10 SAWADA KENJIRO *11 KIMURA TADASHI 木瀨 康人*1 粕谷 香南子*2 王 妍*3 小泉 舞*4 中村 幸司*5 戸田 有朱香*6河野 まひる*7 小玉 美智子*8 橋本 香映*9 澤田 健二郎*10 木村 正*11Establishment of precision medicine platform for rare gynecologic mesonephric adenocarcinoma using the mouse model patient-derived xenograft 近年、科学技術の急速な進歩に伴ってがんの本質をなすゲノム異常がわかるようになり、臨床においてがん遺伝子パネル検査数種類が実用化され、がんの個別化医療が強く推進されてきた。しかしながら、この検査で治療に結び付く遺伝子変異が見つかり、実際に治療が行われるのは現時点では高くとも約10%であり、このことは現在のがん診療はじめに要 旨目的 中腎様癌(MLA)は主に子宮体部や卵巣に発生する予後不良かつ稀な婦人科がんである。患者由来腫瘍移植(Patient-Derived Xenograft、PDX)マウスモデルを用いてMLAの個別化医療開発を試みた。方法 手術で摘出したMLA患者腫瘍をヌードマウスへ同所移植しPDXマウスを作製した。腫瘍のゲノムを全エクソームシークエンス(WES)で解析した。In vitro薬効試験を、ゼラチンスポンジ上でPDX腫瘍片を培養するPatient-Derived Explant(PDE)とPDX腫瘍由来MLA細胞の3次元オルガノイド培養で評価した。In vivo試験はPDXマウスにて行った。結果および結論 WESからKRASとPIK3CAの病的変異が認められた。PDE、3次元オルガノイド培養、PDXマウスでオミパリシブとトラメチニブの併用療法の抗腫瘍効果を認め、個別化医療の可能性が示唆された。大阪大学大学院医学系研究科 産科学婦人科学 同 上 同 上 同 上 同 上 同 上 同 上 同 上 同 上 同 上 同 上で克服すべき喫緊の課題である。つまりは、真に実臨床に応用されうる個別化医療の開発研究が強く求められている。 中腎癌(Mesonephric adenocarcinoma、MA)は、主に子宮頸部に発生する、ヒトパピローマウイルス(HPV)非依存性の中腎管への分化を伴う稀な悪性腫瘍である。近年の婦人科腫瘍に関するWHO分類の改訂を経て、子宮体部および卵巣においてMAと類似した特徴を示す稀な腫瘍として中腎Key words:希少がん、中腎様癌、PDX、マウスモデル、個別化医療109患者由来腫瘍移植マウスモデルを用いた婦人科希少がんである中腎様癌の個別化医療開発
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