*1 WAKAI ERI *2 NISHIMURA YUHEI 若井 恵里*1 西村 有平*2Search for novel protective agent against isoniazid - induced イソニアジドは、結核治療において最も重要な薬剤の一つであり、第一選択薬として広く使用される抗結核薬である1)。一方で、イソニアジドは肝逸脱酵素の一過性の上昇など、薬剤性肝障害を引き起こすことが知られている。この肝障害は可逆的であり、イソニアジドの内服中止により回復する。しかしながら、イソニアジドの長期継続により重篤な肝炎または肝不全を引き起こすことや、イソニアジドの再開時に肝障害の発症リスクが増大することが報告されている2)。臨床現場では、肝疾患治療薬であるウルソデオキシコール酸が使用されることが多いが、対症療法にすぎない。hepatotoxicity using multilayered approachはじめに要 旨目的 イソニアジドの長期継続により、重篤な肝炎または肝不全を引き起こすことが報告されている。本研究では、in silicoおよびin vivoアプローチによりイソニアジド誘発性肝障害に対する新規保護薬の探索を行った。方法 公共データベース(Gene Expression Omnibus、Connectivity Map、FDA Adverse Event Reporting System)を用いて、イソニアジド誘発性肝障害に対する保護薬を同定した。また、トランスジェニックゼブラフィッシュを用いた検証および臨床データの後方視的調査によりその効果を検証した。結果 In silico解析により、イソニアジド誘発性肝障害に対する新規保護薬の候補薬としてランソプラゾールを同定した。ゼブラフィッシュ肝臓において、ランソプラゾール併用群ではイソニアジドによる肝アポトーシスレベルの上昇が抑制された。後方視的調査によりランソプラゾール併用患者では肝障害の発症率が低かった。結論 本研究では、イソニアジド誘発性肝障害の新規保護薬としてランソプラゾールを同定し、肝アポトーシスを抑制することが示唆された。大阪大学大学院医学系研究科統合薬理学(元:三重大学大学院医学系研究科統合薬理学)三重大学大学院医学系研究科統合薬理学また、ラットではケルセチンおよびクルクミンなどのポリフェノール化合物がイソニアジド誘発性肝障害に対して保護作用を示すことが報告されている3)。しかしながら、これらの化合物は水への溶解度および生物学的利用能が低く、半減期が短いため、ヒトへの応用は困難である4)。以上のことから、イソニアジド誘発性肝障害の新規保護薬の開発は極めて重要であると考えられる。 イソニアジド誘発性肝毒性は特異性肝毒性であり、急性肝細胞性肝炎、混合型肝炎、胆汁うっ滞性肝炎、慢性肝炎などの表現型を有しており、これらのメカニズムは、肝細胞アポトーシスと関連していることが知られている5)。また、我々は以前にTol2システムを用いたトランスジェニック(Tg)Key words:イソニアジド、プロトンポンプ阻害薬、薬剤性肝障害、公共データベース、ゼブラフィッシュ117多層的アプローチを用いた薬剤性肝障害に対する新規保護薬の探索
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