臨床薬理の進歩 No.45
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謝  辞利益相反イソニアジドによる炎症性サイトカインを抑制することにより肝毒性を抑制したことが示唆された。しかしながら、本研究で用いたTotal RNAは、ゼブラフィッシュ稚魚個体全体から抽出しており、他の臓器による影響は否定できない。今後、肝臓特異的に詳細な解析が必要である。 ヒト臨床データにおいて、ランソプラゾール併用群の方が、非併用群と比較して年齢が高く、投与期間が長かった。これは、ランソプラゾールの併用により肝機能の悪化が抑制されたことにより、休薬や中止することなく治療継続することができたことが要因ではないかと考えられる。しかしながら、本研究はあくまでの後方視的調査でありランソプラゾールによる正確な影響を評価するためには前向き臨床研究を実施する必要がある。 本研究では、以前に報告した多層的アプローチを用いた解析により、イソニアジド誘発性肝障害に対する新規保護薬としてプロトンポンプ阻害薬であるランソプラゾールを同定した。さらに、Tgゼブラフィッシュおよびヒト臨床データを用いて、ランソプラゾールの保護作用を検証した。本研究成果は、イソニアジドによる結核治療の遂行に役立つ可能性が示唆された。 本研究を実行するにあたり、研究助成を賜りました公益社団法人臨床薬理研究振興財団に心より感謝申し上げます。 本研究に関して、開示すべき利益相反はありません。123

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