臨床薬理の進歩 No.45
151/222

A細胞外小胞A細胞外小胞低←シグナル強度→高低←シグナル強度→高JEG-3細胞に共通して発現するタンパク質2,314分子を見出し、その中からトランスポーターを112分子同定した。大型中性アミノ酸トランスポーターLAT1/SLC7A5やモノカルボン酸トランスポーターMCT4/SLC16A1を含めた62種類のトランスポーターについては、JEG-3細胞とBeWo細胞において2倍以内の発現レベルであった。BeWo細胞において、JEG-3細胞と比較して2倍以上の発現レベルを示した分子を43種類同定し、その中には、薬物排出トランスポーターBCRP/ABCG2やグルコーストランスポーターGLUT1/SLC2A1が含まれていた。以上の結果から、2種類のヒト胎盤関門モデル細胞におけるトランスポーター分子群の発現プロファイルと発現レベルの違いが初めて明らかになった。BeWo細胞における輸送機能評価 大型中性アミノ酸トランスポーター(LAT1/SLC7A5及びLAT2/SLC7A8)の基質であるL-トリプトファンを重水素化したL-トリプトファン-d5のBeWo細胞内への取り込みは、LAT1/LAT2の阻害剤である2-amino-2-norbornanecarboxylic acid (BCH)で有意に阻害された。蛍光標識したBeWo細胞由来細胞外小胞のBeWo細胞内への図4 BeWo細胞の細胞外小胞(A)と細胞膜画分(B)におけるトランスポータータンパク質の発現プロファイル表中の分子名は、同定された分子を示す。各セルの色の濃淡は、相対的な発現レベルを示す。胎盤分泌エクソソームの輸送体発現情報に基づく胎盤関門薬物輸送機能予測法の基盤構築取り込みは、Mfsd2aのsiRNAノックダウンによって有意に低下した。Zinc mesoporphyrin IX(ZnMP)のBeWo細胞内への取込みは、時間依存的に増加しMfsd7cのsiRNAノックダウンによって有意に低下した。以上の結果から、BeWo細胞に発現する輸送体タンパク質(LAT1/LAT2、Mfsd2a及びMfsd7c)による輸送機能が示された。輸送体タンパク質の標的絶対定量プロテオミクス(qTAP):ヒト脳微小血管におけるタンパク質発現アトラスの構築 輸送体タンパク質14分子(EAAT1/SLC1A3、GLUT1/SLC2A1、4F2hc/SLC3A2、CAT1/SLC7A1、BGT1/SLC6A12、MCT1/SLC16A1、RFC1/SLC19A1、MDR1/ABCB1、BCRP/ABCG2、MRP4/ABCC4、CD144/CDH5、CD147/BSG、Na+/K+-ATPase、TfR1/TFRC)について、標的絶対定量プロテオミクス(qTAP)に基づいて絶対定量系を構築し、単離ヒト脳微小血管(2例)における絶対発現量を算出した(図5)。14分子のうち、MRP4/ABCC4の発現量が0.12 fmol/µg proteinと最も低く、GLUT1/SLC2A1の発現量が61.9-95.2 fmol/µg proteinと最も高かった。単離ヒト脳微小血管(2例)間における輸送体タンパク質発現量137137B 細胞膜画分B 細胞膜画分

元のページ  ../index.html#151

このブックを見る