方 法を検討した。 他方、近年医薬品開発において注目されているin vitro to in vivo extrapolation(IVIVE)の手法を用いたin silico approach、すなわち、SimcypTM(Certara、UK Ltd)に代表される生理学的母集団薬物動態シミュレーターによる候補化合物の体内動態予測法は、様々な仮想被験者集団を対象に、その物理化学的性質やin vitro代謝実験データ(Km;ミカエリス定数やVmax;最大反応速度)などから、精度よくヒトにおける体内動態をsimulateすることが可能となっている。実際、米国FDA(Food and Drug Administration)においては、医薬品開発における臨床DDI試験の一部の代替法としてその使用が認められている。低頻度バリアント保有者のDDIリスクを評価するにあたって、対応するバリアントでのin vitroパラメータを求めることは重要であると考えられるが、関連する報告は限られており、未だ本邦PMDAにおいてもin silico approachを用いた評価は認められていない。そこで本研究においては、低頻度バリアントにおけるDDIリスクを正しく評価する上で、遺伝的バリアントごとにin vitro試験を実施する意義を明確にすることを目的とし、in vitroデータの創出とIVIVEを用いたin silico approachによる遺伝的個人差を考慮したDDIのリスク評価の推進に寄与するべく検討を行った。なお、本報告書においては、in silico simulationに関する研究結果については一部論文投稿中のため、詳細は割愛させていただいた。recombinant CYP3A4 variantsを用いたDDI試験概要 CYP3A4の野生型および変異型分子種発現プラスミドを導入した大腸菌発現系を用い、そこから膜画分を調製し、代謝および阻害実験に供した。具体的には、各CYPsの代表的基質と特異的阻害剤を同時にインキュベートし、代謝物量をHPLC-UVにより定量することで代謝および阻害キネティクスパラメータ(Km、Vmax)、競合阻害定数(Ki)、時間依存的阻害定数(kinact,max: 最大不活性化速度とその半分の速度を与える阻害剤濃度KI))を算出した。CYP3A4各分子種のin vitro MBI代謝阻害実験 1.5 mLチューブに0.3 mM EDTAを含む300 mM K+ phosphate buffer(pH = 7.4)および、CYP3A4 発現大腸菌膜画分(incubation時のCYP 濃度:0.0125 nmol P450/mL)、エリスロマイシンまたはクラリスロマイシン(preincubation時点での濃度は、rCYP3A4.WT、.2、.16、.18の場合、エリスロマイシン 0、0.3、1、3、10、30 µMおよびクラリスロマイシン 0、0.3、1、3、10、30 µM、rCYP3A4.7では、クラリスロマイシン 0、0.1、0.3、1、3、10 µM)を37 ℃で10分間co-incubateさせた。その後NADPH再生系溶液(最終濃度:0.2 mM NADPH、5 mM glucose-6-phosphate、0.5 mM NADP、1 U/mL glucose-6-phosphate dehydrogenase、3 mM MgCl2)を添加し、preincubation(エリスロマイシン、クラリスロマイシン:0、5、15、30 分間、rCYP3A4.16では、クラリスロマイシン:0、15、30、45分間)を開始した。続いて、基質として4 µM ミダゾラム溶液(incubation時の濃度:2 µM)およびNADPH再生系、0.3 mM EDTA入りphosphate bufferを添加し、37 ℃で20分間の代謝反応を開始した。代謝反応後に、氷冷したmethanolを450 µL添加して混和し、反応を停止させた。反応液に内標準物質(IS)として0.1 µM ニトラゼパム水溶液50 µLを添加し、混和後4 ℃、3,500×gで20分間遠心し、上清中の1-水酸化ミダゾラムを後述の方法でHPLC-UV法により定量した。HPLC UV法によるミダゾラム1-水酸化の定量 HPLC装置としてポンプLC-10ADおよびUV検出器SPD-10AD(Shimadzu、Kyoto、Japan)を使用した。カラムは逆相カラム(Cosomosil、5C18-MS-Ⅱ、4.6×250 mm、ODS; Nacalai Tesque、Kyoto、Japan)を使用した。移動相として50%(v/v)methanolを使用し、流速は1.5 mL/min、検出波長は245 nm、144
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