A図2 免疫組織染色による抗小脳抗体の同定抗体陰性例(A)、neuropil pattern(B)、intracellular pattern(C)を示す。GL; granular cell layer(顆粒細胞層)、ML; molecular layer(分子層)、PL; Purkinje cell layer(プルキンエ細胞層)50μm50μm50μm結 果免疫組織染色 成体ラット小脳の凍結組織をクライオスタットで7μm厚の切片に切り出し、氷上で20分間アセトン固定を行った。固定した切片を再水和、ついで10%ヤギ血清を含むリン酸緩衝生理食塩水により室温で40分間ブロックした。その後、希釈した患者血清(1:100)と室温で1時間インキュベートした。リン酸緩衝生理食塩水で洗浄後、切片をAlexa-Fluor 488ヤギ抗ヒトIgG(1:1000、Molecular Probes、Eugene、OR)及びHoechst 33,342(1:1000、Nuclear Probes、CellStain)と室温で1時間インキュベートした。蛍光画像は共焦点レーザー走査型顕微鏡システム(LSM710; Carl Zeiss AG、Oberkochen、Germany)で撮像した。 上記の方法で、対象及び対照者の血清を用いて免疫組織染色を行い、血清中に含まれる抗小脳抗体を検出した。免疫組織染色における陽性率を各群で比較した。ついで、免疫組織染色の結果から認識抗原の分布を元にして、抗小脳抗体陽性ISAをneuropil pattern、intracellular pattern、陰性群に分類し、臨床的特徴を検討した(図2)。統計処理 連続変数についてはKruskal-Wallis検定または一元配置分散分析、カテゴリー変数についてはカイ二乗検定またはFisherの正確検定を用いて算出した。p値が0.05未満である場合に有意と判断した。 310例のうち、臨床情報の不明な症例 26例を除外した。その後、SPORTAX基準を用いて、発症年齢や家族歴から36例、MSA-CやHA 50例、臨床・画像・検査所見から他の診断が妥当な症例131例を除外した。最終的に、67例がISAとして抽出された。これらの67例は、既知の抗神経抗体(mGluR1、IgLON5、GAD、VGCC、neurochondrin、GluD2、Caspr2)、及び傍腫瘍性神経症候群関連抗体を測定し、陰性であることを確認した(図1)。 各群の女性は、ISA 27例 (40.3%)、MSA-C 18例(60.0%)、HA 12例(60.0%)、健常者 13例 (72.2%)であった。発症時の年齢の中央値は、ISA 60歳、MSA-C 58歳、HA 55歳であった(表1)。ISAにおける抗小脳抗体陽性率は他の群よりも高率であった ISA、MSA-C、HA、健常者における免疫組織染色での抗小脳抗体陽性率は、30/67 (44.8%)、3/30155155BC
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