表1 各群の臨床的背景及び免疫組織染色の結果多系統萎縮症遺伝性失調症3018 (60.0%)58 (41–70)64 (43–82)12 (60.0%)55 (2–81)58 (36–82)3 (10.0%)1 (3.3%)2 (6.7%)健常者201813 (72.2%)34 (14–71)0 (0%)0 (0%)0 (0%)1 (5.6%)0 (0%)1 (5.6%)(10%)、0/20(0%)、1/18(5.6%)であり、ISA群は他群よりも有意に高かった(p < 0.001)。また、neuropil patternを示す割合は、12/67(17.9%)、1/30(3.3%)(p < 0.05)、intracellular patternを示す割合は、18/67 (26.9%)、2/30 (6.7%)、0/20 (0%)、1/18 (5.6%)であり(p < 0.05)、いずれもISA群は他群よりも有意に高かった(表1)。neuropil patternを示すISAは純粋小脳失調症を呈する 抗小脳抗体が陽性であるISAの臨床的特徴を検討するために、免疫組織染色での結果から、ISA患者をneuropil pattern、intracellular pattern、陰性群に分類して比較した。その結果、小脳外症候(錐体路徴候、末梢神経障害、認知機能障害)を伴う患者の割合は、それぞれ2/12 (16.7%)、12/18(66.7%)、23/37(62.2%)であり、neuropil pattern群では小脳外症候を伴う患者が有意に少なかった(p = 0.013)。錐体路徴候、末梢神経障害、認知機能障害のそれぞれに分けて検討すると、錐体路徴候では1/12(8.3%)、8/18(44.4%)、18/37(48.6%)で患者数年齢、性別 女性 発症年齢 中央値(範囲) サンプル採取時年齢 中央値(範囲)免疫組織染色 抗小脳抗体陽性例(%)** neuropil pattern (%)* intracellular antibody (%)*ISA; idiopathic sporadic ataxia** p < 0.001、*p < 0.05 (Fisher’s exact test)ISA6727 (40.3%)60 (40–85)65 (42–88)30 (44.8%)12 (17.9%)18 (26.9%)ありneuropil patternで有意に少ないという結果であった(p = 0.041)。 そのほかの臨床所見(体幹失調、四肢の失調、構音障害、眼球運動障害、サンプル採取時の重症度、サンプル採取時の罹病期間、脳脊髄液検査所見)、画像所見(頭部MRIでの小脳萎縮、脳血流シンチグラフィでの小脳の血流低下)、治療内容には3群間での有意差は認められなかった(表2)。抗小脳抗体陽性ISAでは治療反応性が期待できる 臨床情報から、8例の抗小脳抗体陽性ISA(neuropil pattern 4例、intracellular pattern 4例)に対して、免疫療法(ステロイドパルス療法5例、免疫グロブリン大量静注療法1例、ステロイドパルス療法及び免疫グロブリン大量静注療法の併用2例)が施行されていた(表3)。さらに、neuropil pattern 2例、intracellular pattern 2例の合計4例において、modified Rankin Scaleにおいて1以上の改善が認められた。治療に伴う有害事象は特に報告されなかった。 156
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