臨床薬理の進歩 No.45
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言葉や文化、人々について写真5 ハロウィーン用の巨大カボチャもたくさんあり、森の中に人が暮らしているというイメージでした。しかも海岸線に非常に近く、10分ほど車を走らせると大西洋を望むことができました。夏の夜には毎週金曜日には浜辺から何百発と花火が打ち上がり、家族と頻繁に見に行きました。テニスコートも住人は無料で使うことができました。アメリカ東部は雨が多く、冬はすべての葉が散ってしまい少し寂しい雰囲気になりますが、春になると一斉に草木が生い茂り大量の種子を地面に落とします。時には野生の鹿が目の前を横切っていくこともあり、人が住まなくなるとあっというまに大森林地帯になりそうな強い生命力を感じる環境でした。春〜夏にかけてはバーベキュー、秋にはアップルピッキングやハロウィーンに使う大きなカボチャを買いにでかけ(写真5)、冬にはクリスマスの催しものなど、四季に合わせたイベントを家族で楽しむことができました。冬はマイナス10℃以下まで冷え込みますが、北部へ車を1時間程度走らせるとウインタースポーツも楽しむことができます。ニューヨーク市内は地下鉄が便利ですが、ウエストチェスターのような郊外では車での移動が必須となります。ボストンやフィラデルフィアといった周りの都市に出かける時などは最低3〜4時間ほど車で移動する必要があります。最初は戸惑いましたが、高速道路が至る所に張り巡らされており、雄大な自然を眺めながら走ることができるので、運転のストレスはあまり感じませんでした。 子供が小学校からもらった教科書は、アメリカ建国史だけでなくインドやギリシア神話、イスラム教についてなど、非常にグローバルな内容を扱っており大変驚きました。当たり前といえば当たり前ですが、小学校の教科書には、生活に必要なすべての文法が登場します。日本では高校卒業時までに必要な文法を一通り習得できるので、日本のカリキュラムはよく考えて作られていることをあらためて感じましたが、逆にいえば日本の高校教育ではアメリカの小学校の教科書をようやくがんばって読むことができる程度、ということが分かりました。語彙力が圧倒的に不足しており、やはり英語の学習は高校卒業後もずっと続けていくべきであることを改めて痛感いたしました。また、アメリカで生活していると、みんなとてもフレンドリーであり、顔見知りだけでなく、すれ違っただけの他人に対しても非常に好意的で優しいです。挨拶はもちろんのこと(これはお互いに自分が危険な人間ではないことをアピールするためでもありますが)、子連れの我々には誰でも必ずといっていいほど道を譲ってくれますし、ドアも開けたまま待ってくれます。ネイティブじゃない人にはそれぞれの国のコミュニティーがありますが、お互いの文化を尊重するという雰囲気がニューヨークにはありました。167

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