臨床薬理の進歩 No.45
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*1 NODA SATOSHI 野田 哲史*1はじめに要   旨目的 カボザンチニブは、進行腎細胞がんにおいて承認用量の60 mg/日で投与すると、重篤な有害反応のため治療の中止や減量に至ることが多いが、カボザンチニブの至適用量の指標は不明である。本研究では、進行腎細胞がん患者におけるカボザンチニブの血中濃度と抗腫瘍効果・有害反応の関連を検討した。方法 カボザンチニブを投与された進行腎細胞がん患者8名を対象とした。カボサンチニブの血中濃度は液体クロマトグラフィーで測定した。抗腫瘍効果の評価にはRECIST v.1.1を、有害反応の評価にはCTCAE v.5.0を用いた。結果 カボザンチニブの血中のトラフ濃度は、腫瘍縮小率と有意な正の相関を認めた(R=0.74、p=0.03)。食欲不振、疲労、手足症候群、AST/ALT上昇、甲状腺機能低下を発現した患者において、非発現患者と比較してカボザンチニブ濃度が高い傾向が示された。結論 本結果より、腎細胞がん患者におけるカボサンチニブの血中濃度測定は、至適投与量の同定に有用である可能性が示唆された。立命館大学薬学部薬学科医療薬学研究室1、滋賀医科大学医学部医学科薬物治療学講座を認めることが明らかにされ1)、国内外で同様の結果が得られたため、平成24年の診療報酬改定においてイマチニブの特定薬剤治療管理料が承認された。また、これまで我々は、腎細胞がん治療薬のスニチニブにおいて血中濃度と有効性・有害反応の関連性を解析し、50-100 ng/mLを至適濃度であることを報告してきた2)。同様の報告が腎細胞がん患者で数多く報告されたことから、平成30年の診療報酬改定では、腎細胞がん患者を対象に、スニチニブの特定薬剤治療管理料が承認された。このような背景から、他の分子標的抗がん薬でも、血中濃度と治療効果・有害反応が相関する結果が得られる場合、TDMへの臨床応用が期待される。 本課題のカボザンチニブは、本邦で2020年3月に腎細胞がん治療に対して承認された経口分子標的Key words:腎細胞がん、カボザンチニブ、Pharmacokinetic/pharmacodynamic解析、Therapeutic drug monitoring、個別化投与法Establishment of individualized dosage regimens based on  経口分子標的抗がん薬は主に固定用量で承認されているが、薬物動態および薬力学(有効性・安全性)の個体間変動が大きいことが臨床上で問題となっている。これらの問題を克服するため、国内外において、薬物血中濃度モニタリング(Therapeutic drug monitoring; TDM)による至適用量の決定が試みられてきた。経口分子標的抗がん薬のTDMは、治療効果の低下を来した場合、予測できない重篤な有害反応を経験した場合、予期できない薬物間相互作用に遭遇した場合、あるいは服薬状況が確認できない場合に有用であることが知られている。例えば、慢性骨髄性白血病治療薬であるイマチニブは、1,000 ng/mL以上で有効性the pharmacokinetics of cabozantinib21カボザンチニブの薬物動態に基づく個別化投与法の確立

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