臨床薬理の進歩 No.45
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表1 患者背景Gender, male/femaleAge, yearsBody weight, kgSerum creatinine, mg/dLBlood urea nitrogen, mg/dLSerum total bilirubin, mg/dLAspartate aminotransferase, IU/LAlanine aminotransferase, IU/LSerum total protein, g/dLSerum albumin, g/dLPeripheral blood leukocytes, counts/µLSerum C-reactive protein, mg/dLMatrix metalloprotease-3, ng/mLRheumatoid factor, IU/mLデータは中央値(四分位範囲)として示している。結  果GL Science、東京)を用いた迅速タンパク消化に定量的標的プロテオミクスを組み合わせることで、従来法に比べて前処理に要する時間が大幅に短縮され、処理工程が簡便になっている。さらに、血清中抗体薬濃度の定量において、免疫学的測定法で問題となる交差反応を示さない点で、定量性に優れている。血清中FcRn結合タンパク質濃度及び可溶性IL-6受容体濃度の測定 臨床検査から、血清中の総タンパク値、アルブミン値、総グロブリン値を得た。血清中の総IgG値については、報告時点で測定可能であった患者22名を対象として、Invitrogen Human IgG Total ELISA kit(Thermo Fisher Scientific Inc.、Waltham、MA)により測定した。また、血清中の可溶性IL-6受容体濃度については、報告時点で測定可能であった患者22名を対象として、Invitrogen Human sIL-6R ELISA kit(Thermo Fisher Scientific Inc.)により測定した。統計解析 統計解析はIBM SPSS Statistics 23(IBM Japan Ltd.、東京)を用いた。血清中トシリズマブ濃度と血清中のFcRn結合タンパク質濃度及び可溶性IL-6受容体濃度との相関性については、スピアマンの順位相関係数を用いた有意差検定を実施した。危険率5%未満を有意差ありと判定した。なお、測定値については、特に示さない限り、中央値(四分位範囲、IQR)として示した。患者背景 本研究において登録したトシリズマブ投与患者33名の背景を表1に示す。対象患者の多くは女性であり、年齢は56(42–70)歳であった。関節リウマチの臨床的寛解が認められた患者を登録しているため、血清中C反応性蛋白(CRP)値は0.02(0.02–0.04)mg/dLと全ての患者において陰性化していた。血清中マトリックスメタロプロテイナーゼ-3(MMP-3)値及びリウマトイド因子(RF)値は、それぞれ45.4(34.9–89.1)ng/mL及び42.2(27.6–109.5)IU/mLであった。血清中トシリズマブ濃度及びタンパク値の分布 血清中トシリズマブ濃度の実測値を図1に示す。皮下投与されたトシリズマブの血清中濃度は、15.4(9.4–24.6)μg/mLであった。血清中総タンパク値及びアルブミン値は、それぞれ6.9(6.8–7.3)g/dL及び4.5(4.3–4.6)g/dLであり、いずれの中央値も正常域であった。血清中総グロブリン値は2.633, 5/2856 (42–70)52 (48–60)0.60 (0.53–0.70)13.3 (11.1–17.2)1.0 (0.8–1.4)22 (17–25)18 (14–25)6.9 (6.8–7.3)4.5 (4.3–4.6)4620 (3790–5895)0.02 (0.02–0.04)45.4 (34.9–89.1)42.2 (27.6–109.5)30

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