今回より「臨床薬理の進歩」の編集を担当することになりました、浜松医科大学臨床薬理学の乾と申します。藤村昭夫先生、大戸茂弘先生にご指導いただきながら、伝統ある本誌の編集に尽力して参りたいと思います。どうぞ宜しくお願いします。 臨床薬理研究振興財団は昭和50年に設立され、我が国の臨床薬理学研究の推進に大きく貢献をしてきました。2025年に設立50周年を迎える財団は数多くの事業を展開していますが、研究奨励金に関係する助成事業は、臨床薬理に関係する基礎研究に加え、「ヒト」を対象とした臨床研究およびそれを支える臨床応用のための研究も対象としている点で、非常に先進的であると思います。昨今、基礎研究はますます複雑な解析を要するようになっていますし、臨床研究においても求められるレベルは高度化し、倫理的また科学的に実施するために研究資金の獲得は必須になっています。私自身、2005年度と2009年度に2度の研究奨励金を助成いただき臨床薬理研究に役立ててきましたが、臨床薬理に関係した本研究助成制度の存在は非常に大きいものです。また45歳未満の研究者を対象に募集している点も、臨床薬理研究を志す研究者にとって大きな励ましとなっていると思います。 2021年度の研究奨励金の募集には96件の応募があり、厳正な審査の結果、20件の研究課題に交付されました。本誌には2021年度に交付された研究の報告が18編、2020年度の研究報告が1編、海外留学助成金による研修報告1編が掲載されています。これらの論文には、病態解明や新しい画期的な治療法の開発につながる基礎的な研究結果やヒトを対象として実施された臨床研究の結果が記載されています。基礎および臨床分野、医学および薬学専門家による研究が一堂に掲載されていることも本誌の特徴と思います。いずれも充実した内容となっており、すでにご自身の専門領域を極めている研究者、ならびにこれから臨床薬理研究を始めようと思っている新進気鋭の研究者にとっても、今後の研究に大いに参考になると思います。是非、ご一読ください。2024年4月乾 直輝ま え が き
元のページ ../index.html#5