臨床薬理の進歩 No.45
51/222

表1 患者の基礎データ症例数 [名]出生年 [年]男児/女児 [%]年齢 [歳]身長 [Z-score]体重 [Z-score]γ-GT [IU/L]肝疾患既応歴のない対照患児302016 (2014–2017)56.7/43.33.5 (2.1–5.5)-0.1 (-0.5–0.6)0 (-0.5–0.4)10 (8–13)PFIC1222006 (2004–2012)45.5/54.59.0 (5.8–14.0)-3.3 (-4.6–-2.9)-1.9 (-2.7–-1.3)26 (19–49)結  果他の胆汁うっ滞472012 (2008–2013)51.1/48.94.8 (1.3–9.1)-1.3 (-2.3–-0.9)-1.3 (-2.1–-0.7)19 (7–50)( )は範囲を示す。文献 5) より引用、改変。マウスからの生体試料の収集 イソフルラン(2%、吸入麻酔装置)で麻酔後に開腹した。下大静脈からの血液をエチレンジアミン四酢酸コートチューブに採取した。1700×gで15分間の遠心にて血漿を分離し、液体窒素で凍結後、-80 ℃で保存した。肝臓を採取し、液体窒素中で凍結し、-80 ℃で保存、あるいは組織病理解析のために処理した。小腸を摘出し、0.5 mMのタウロコール酸を含む冷PBSで洗浄し、組織学的分析用に処理した。血液生化学検査 マウス血漿中のALT、ASTは、富士フイルム社のDRI-CHEMにて測定した。組織病理解析 マウス肝臓を小片に切断し、10%中性緩衝ホルマリンで固定し、パラフィンに包埋した。マウス小腸をPBSで洗浄後、10%中性緩衝ホルマリンで洗浄し、2つのセグメント(近位部と遠位部)に切断し、10%中性緩衝ホルマリンで固定し、パラフィンに包埋した。3μmのパラフィン切片を作製し、脱パラフィン、再水和、H&E染色後、Entellan Newにて封入した。免疫組織染色のために、再水和したパラフィン切片を1×Tris-HCl(pH10)にて抗原賦活化した。3% BSA/PBSにて室温で1時間処理した後、一次抗体で4 ℃で一晩染色し、Alexa Fluor二次抗体で室温で1時間染色した。Thermo Fisher Scientific社のProLong Diamond Anti-fade Mountantで封入後、Carl Zeiss社のZeiss LSM 880、あるいはZeiss Axio Scan Z1で顕微鏡画像を取得し、Carl Zeiss社のZen 3.0 softwareで処理した。免疫染色領域を定量化するために、デジタル画像をImageJソフトウェア(ver. 1.53c)で解析した。統計解析 データは断りのない限り、平均値±標準誤差(SEM)で表記した。2変数間及び複数変数間の差は、それぞれWelchのt検定及びDunnettのT3検定による一元配置分散分析(ANOVA)を用いて95%信頼水準で評価した。データは、GraphPad Prism 9.3.1を用いて解析した。コリン及びその代謝物はPFIC1患者で欠乏している PFIC1モデルマウスから得た知見についてトランスレーショナルの可能性を検討するため、PFIC1患者の生体試料を解析することとした。PFIC1は超希少疾患であり、発症率、生存率を含む患者実態が国内外において不明であるため、著者らは、日本小児栄養消化器肝臓学会の支援を受け、2015年に全国2003737

元のページ  ../index.html#51

このブックを見る