臨床薬理の進歩 No.45
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AgD50B0C/0/0)LU(TLA)LU(TSA長毛絨重体域領域領域領*************15100.8************0.60.40.20.0********************2.52.01.51.00.50.0*******************コントロールマウスPFⅠC1モデルマウス3002001001000****7505002501.00.80.60.40.20.0************600400200標準飼料標準飼料考  察標準飼料標準飼料CSDCSD標準飼料標準飼料標準飼料CSD 著者らは、PFIC1患児と類似した肝病態を呈するPFIC1モデルマウスの作出に成功している5)。PFIC1の原因遺伝子であるAtp8b1は、リン脂質フリッパーゼの分子機能を有する9)。著者らは、本マウスを用いた解析から、Atp8b1が当該機能を介し、腸管上皮細胞においてLPC吸収に働くこと、そしてAtp8b1の機能破綻により、LPCの吸収不全を来たすと体内へのコリン源の供給が不足し、PFIC1様の肝病態を発症することを明らかにしている5)。 本研究では、当該知見に関し、トランスレーショナルの可能性を検討するため、PFIC1患児の生体試料を解析した。その結果、PFIC1患児では、同年代の対照患児、PFIC1以外の胆汁うっ滞患児に比して、血漿中のコリン、及びコリン代謝物でCSDCSD図2 CSD給餌によりPFIC1モデルマウスの肝病態は正常化するPFIC1モデルマウスを得るために交配した雌マウスに、授乳期間中、標準飼料、またはCSDを与えた。仔マウスであるPFIC1モデルマウスと同腹コントロールマウスを離乳直後(4週齢)に解析した。 グラフは平均値±標準誤差で示した。p値は、Welchの一元配置分散分析と、多重比較のためのpost hoc DunnettのT3検定によって算出した。0.05未満の場合は図中に示した。**; p<0.01、***; p<0.001、****; p<0.0001。文献 5)より引用、改変。A) PFIC1モデルマウス(n=10(標準飼料)、n=10(CSD))と同腹コントロールマウス(n=7(標準飼料、n=18(CSD))の体重B) PFIC1モデルマウスと同腹コントロールマウスの小腸切片をH&E染色し、絨毛の長さを測定した。各群5匹から合計40本の絨毛を測定C) PFIC1モデルマウス(標準飼料[n=12]、CSD[n=8])、及び同腹コントロールマウス[n=9]のAST、ALTの血漿中濃度D) PFIC1モデルマウス及び同腹コントロールマウスの肝臓切片を免疫組織染色に供した。Plin2(脂質滴)、MPO(好中球)、F4/80(マクロファージ)に対する抗体で染色し、染色領域を定量した。あるベタイン、ジメチルグリシンの濃度が有意に低下していることを確認された(図1)。すなわちPFIC1モデルマウスとPFIC1患児の肝病態が、同一の分子基盤に基づき発症している可能性が示された。 PFIC1モデルマウスでは、遊離コリンの小腸吸収機能は維持されているため5)、コリン補充療法による本マウスの肝病態改善が期待される。そこで、PFIC1モデルマウス及びそのコントロール同腹仔を出産した母マウスにCSDを給餌したところ、離乳直後(4週齢)のPFIC1モデルマウスで観察される肝病態が完全に抑制されていた(図2)。一方、CSDは、本マウスが呈する成長遅延と乳児死亡率を軽減することはできなかった。両表現型は、コリン及びその代謝産物の欠乏とは直接的に関係しないと考えられる。小腸の主機能は栄養素の吸収である。グルCSDCSD3939

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