結 果統計 各患者群の 2 群間における免疫サブセットの割合の比較は Mann-Whitney U-test を用いて検定された。各患者群の治療前後における免疫サブセットの割合の変化は Wilcoxon signed-rank test(Wilcoxon の符号順位検定)を用いて検定された。研究倫理 本研究プロトコールは東京医科歯科大学医学部倫理審査委員会において審査・承認されており新たな治療標的の探索」)、いずれの患者に対してフォームドコンセントが書面にて十分になされた。 また、治療抵抗性の PM/DM に対する各種薬剤の適応外使用に関しても本学医学部未承認薬新規医薬品等評価委員会にて審査・承認されており酸モフェチル、2017-512:リツキシマブ、2022-007:トファシチニブ)、患者に使用時、書面にて説明がなされている。患者プロフィール 2021 年 12 月〜 2023 年 10 月の期間で、PM/DMとして当院当科に入院し、フローサイトメトリーによる PBMC の免疫サブセット解析を行った患者はのべ 42 例であった。その内、3 例が初発、または再発・再燃症例に対し初期治療開始後、または治療再強化後での PBMC 免疫サブセット解析となったので、本課題の解析からは除外した。また入院精査の結果、1 例は PM の再燃ではなく、合併していた全身性強皮症による病態の悪化と判断されたため、同様に解析から除外した。残りののべ38 例の患者の特徴を表 3に示す。初発症例は 24 例、再燃・再発症例は 14 例であった。なお、本研究課題期間内において、初期治療開始、または治療再強化多発性筋炎/皮膚筋炎患者の免疫細胞プロファイル解析による治療奏効群と治療抵抗性群の特徴的な免疫フェノタイプの抽出と治療への応用(「M2000-2235:多発性筋炎/皮膚筋炎におけるも PBMC が解析され研究に使用される等のイン(2017-013:アバタセプト、2017-026:ミコフェノール(疑いを含む)の初発症例、または再燃・再発症例後に再燃した症例はのべ 6 例(5 名 ; H02a、H04a、H07a、H08a、H08b)であった。対象患者 32 例の内、男性が 8 例、女性が 24 例で、平均年齢は 59.7 歳であった。PM が 4 例、DM が 28 例であった。全再燃・再発症例の 14 例では、8 例が抗アミノアシル tRNA合成酵素(Aminoacyl-tRNA Synthetase ; ARS 抗体、抗 Jo-1 抗体、抗 PL-12 抗体含む)陽性例であり、抗 ARS 抗体陽性の PM/DM は再燃・再発しやすいという既報と一致したが、本研究課題期間内の再燃6 例では、抗 ARS 抗体陽性は 1 例であり、4 例が抗体陰性の症例であり、もう 1 例が抗 Mi-2 抗体陽性例であった(表 3)。 初発例の初期治療や再燃・再発例の治療再強化の治療内容に関しては、患者の年齢、病態、合併症を総合的に判断し、複数のリウマチ専門医が参加している当科の症例検討会にて協議・決定された。そのため、急速進行性の IP を合併し、予後不良因子の抗 MDA-5 抗体が陽性であった DM-IP 2 例においては、PM/DM に対し本邦では保険適用外である JAK 阻害剤トファシチニブでの併用加療が行われていた。寛解群、再燃群治療前の特徴的免疫細胞フェノタイプの検出 治療抵抗性の PM/DM 患者の免疫細胞プロファイルにおける特徴を見出すため、まずは PSL と免疫抑制剤での免疫抑制療法により、寛解状態に達する群と再燃する群とで治療前の免疫細胞プロファイルに差異を認めるか評価した。PM/DM を初発後に初期治療により寛解した患者と、PM/DM を再燃・再発後に治療再強化により寛解に達した患者を寛解群とし、PM/DM 初発後の初期治療後の PSL漸減過程で再燃した患者と、PM/DM 再燃・再発後の治療再強化後に再度再燃した患者を再燃群として解析した。 本研究課題での寛解の定義の結果、6 ヶ月以内に死亡した 1 例(症例 H06;悪性腫瘍関連死)と、本研究にエントリー後、6 ヶ月未経過で再燃はしていないものの寛解の定義を満たさない 9 例(H29、6161
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