臨床薬理の進歩 No.45
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H31、H32、H34〜38、H40)は、本解析のデータから除外された。また、一部検体において解析されていなかったサブセットのデータは欠測値として処理された。 T細胞の解析においては、CD3+細胞(全T細胞数)、CD4+ T細胞、CD8+ T細胞、CD4/CD8比、ナイーブCD4+ T細胞、メモリーCD4+ T細胞、ナイーブCD8+ T細胞、メモリーCD8+ T細胞、セントラルメモリーCD4+ T細胞(CD4+ Tcm細胞)、セントラルメモリーCD8+ T細胞(CD8+ Tcm細胞)、エフェクターメモリーCD4+ T細胞(CD4+ Tem細胞)、エフェクターメモリーCD8+ T細胞(CD8+ Tem細胞)、活性化CD4+ T細胞とCD4+ T細胞分画のTh1細胞、Th2細胞、Th17細胞、濾胞性T細胞(Tfh)、レギュラトリーT細胞(Treg)、そして胸腺移出T細胞やインバリアントナチュラルT細胞、いずれにおいても、寛解群と再燃群の治療前のプロファイル(各細胞の割合)に差異は認めなかった。 B細胞の解析では、CD19+細胞(全B細胞数)、移行B細胞、ナイーブB細胞、switchedメモリーB細胞、形質芽球では、寛解群と再燃群で差異を認めなかったものの、unswitchedメモリーB細胞のCD19+ B細胞に占める割合は、再燃群が寛解群と比較して有意に増加していた(寛解群:平均1.35% vs 再燃群:平均3.33%、図1-A)。 単球と樹状細胞の解析では、ミエロイド樹状細胞、活性化ミエロイド樹状細胞、形質細胞様樹状細胞の内、活性化ミエロイド樹状細胞の樹状細胞に占める割合が、再燃群が有意に増加していた(寛解群:平均0.34% vs 再燃群:平均1.09%、図1-B)。単球は、古典的単球、中間単球、非古典的単球のいずれのフェノタイプも、寛解群と再燃群とで差異は認めなかった。免疫抑制療法による寛解群、再燃群の免疫細胞プロファイルの変化 PSLと免疫抑制剤による免疫細胞プロファイルへの薬剤の影響を最小限にするため、免疫抑制療法後に寛解した患者と再燃した患者の治療前後での個々の免疫細胞プロファイルの推移を評価し、集団として解析した。評価対象の集団は「寛解群、再燃群治療前の特徴的免疫細胞フェノタイプの検出」と同様に、寛解群と再燃群に分け、寛解群では治療開始前と、治療開始後6ヶ月、8〜9ヶ月、12ヶ月(一部患者ではそれ以降)の内、治療開始前と最も間隔が空き、PSL投与量が最低量となる時点との免疫細胞サブセットの割合の変化を評価した。再燃群では、治療再強化前と、再燃した時点との免疫細胞サブセットの割合の変化を評価し、2群間での差異を比較した。 同一患者のPBMC評価時期の定義の結果、治療前のデータしか得られなかった4例(H06;6ヶ月以内の死亡、H09;寛解時のPBMC検体不良、H15、H17;2回目以降の検体未回収)と、「寛解群、再燃群治療前の特徴的免疫細胞フェノタイプの検出」と同様に寛解の定義を満たさない9例(H29、H31、H32、H34〜38、H40)は本解析のデータから除外された。また、一部検体において解析されていなかったサブセットのデータは欠測値とし、治療前後で変化なしとして処理した。 T細胞の解析においては、CD4+ Tcm細胞、CD8+ Tcm細胞は治療前と治療後(寛解時、または再燃時)の各免疫サブセットの割合の変化に、寛解群、再燃群共に、有意差はなかった。一方、CD4+ Tem細胞とCD8+ Tem細胞の解析では、寛解群において、CD4+ T細胞とCD8+ T細胞に占めるCD4+ Tem細胞とCD8+ Tem細胞の割合が、治療前と比べて治療後で有意に増加していた。再燃群は、データ入手の都合上、検証可能なn数が4例であったため、CD4+ Tcm、CD8+ Tcm、CD4+ Tem、CD8+ Tem細胞に対し統計学的解析はできなかったが、得られた4例のデータは、寛解群と同様の傾向は示していなかった(図2A)。その他のT細胞サブセットの免疫プロファイルは、寛解群と再燃群との間に治療前後における有意な変化を認めなかった。 B細胞の解析では、寛解群おいて、リンパ球に占める全B細胞の割合と、移行B細胞、ナイーブ64

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