、便図3 解析方法血中尿毒症物質外来受診時に採取した血清サンプルから質量分析により種類の腸内細菌由来尿毒症物質、を測定した。腸内細菌外来受診時に採取した便サンプルをシークエンスで解析し、計種類の菌種属レベルに分類した。結 果腸内細菌由来尿毒症物質・PS・TMAO・ -CSp・IS腎機能データ・BUN・Cre (eGFR)Total 585種(genus level)での発現頻度が低い菌についてはその臨床的重要性と統計的観点から除外することとし、20%以上の患者が保持している比較的頻度の高い腸内細菌について解析を行った。また、腸内細菌の種類によっては保持している患者と保持していない患者がいることから、保持している患者のみにおいて尿毒素との相関を解析した(図3)。統計解析 統計解析にあたってはeGFRの菌や尿毒素に与える影響を取り除くため、以下のモデルを仮定した。 Y=β0+β1 log(X1)+β2(X2)+ε (Y:尿毒素、X1:菌の割り合い、X2: eGFR)。 患者便検体より585種類の属レベルの菌種を同定して、腸内細菌由来尿毒症物質4種類との2340通りの組み合わせについて相関を解析した。その結果、重回帰分析では16通りの組み合わせで尿毒症物質と腸内細菌の有意な相関を認め、そのうち正の相関を示したものは9種、負の相関を示したものは7種が同定された。正の相関を示した9種類に関しては、PSと相関を示すものが1種類、p-CSと相関を示すものが4種類、ISと相関を示すものが3種類、TMAOと相関を示すものが1種類存在した。統計的には上記9種類が正の相関を示したが、実際に相関をグラフで確認してみると少数の患者で発現が著しく高いなどに起因した統計的有意差が生じている可能性がある菌群も存在した。このため、さらに尿毒素と腸内細菌発現量のグラフから有意と考えられる菌を抽出した。その結果Clostridiales目の2種類がp-CSと有意な相関を示していると考えられた(図4)。また、負の相関を示す菌は興味深いことに全てp-CSと相関する菌群であり、その中でも尿毒素と腸内細菌発現量のグラフから有意であると考えられた菌はVeillonellales目の1種類とClostridiales目の1種類であった(図5)。結果として今回尿毒素と相関があるとして抽出できた菌の全てがp-CSとの相関を示す菌群であった。 実際にこれらのp-CSと相関を示す4種類の菌(正の相関を示す2種類と負の相関を示す2種類)について、腎機能の指標であるクレアチニン(Cr)や尿素窒素(BUN)、その他の3種類の尿毒素と相関を示すことなく、実際にp-CSのみと相関するかどうかを確認した。その結果、どの菌もp-CSのみと強い相関を示す菌であることが明らかになった(図6)。外来101名血清重回帰分析74
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