臨床薬理の進歩 No.45
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*1 TSUNO HIROTAKA 独立行政法人国立病院機構相模原病院 リウマチ科、独立行政法人国立病院機構相模原病院 臨床研究センター*2 TANAKA NOBUHO 独立行政法人国立病院機構相模原病院 臨床研究センター*3 NAITO MASASHI *4 IWASAWA MITSUYASU 独立行政法人国立病院機構相模原病院 臨床研究センター、独立行政法人国立病院機構相模原病院 整形外科*5 MITOMI HIROYUKI 小田原市立病院病理診断科*6 FUKUI NAOSHI 津野 宏隆*1  田中 信帆*2 内藤 昌志*3 岩澤 三康*4 三富 弘之*5 福井 尚志*6はじめに要   旨 目的 変形性膝関節症(膝OA)において滑膜病変に伴い関節液中にウロキナーゼ(uPA)が増加する機序を知ること。方法 膝OAから採取した軟骨に荷重を加えて遊離した因子を一次培養滑膜細胞に添加してuPAの発現を調べた。OA軟骨から荷重により遊離したTGF-β1、β2、β3を定量し、さらに活性型のTGF-βの遊離量をHEK-Blue TGF-β Cellを用いて調べた。結果 OA軟骨から荷重により遊離した因子は滑膜細胞においてuPAの発現を誘導し、その作用はTGF-βによると考えられた。OA軟骨変性部からは荷重によって組織1gあたりおよそ4 ngのTGF-β1が遊離し、その大部分は活性型と考えられた。OA軟骨に荷重を加えてもTGF-β2、β3はほとんど遊離しなかった。結論 膝OAでは軟骨から荷重により活性型のTGF-β1が遊離し、滑膜においてuPAの発現を誘導している可能性が考えられた。独立行政法人国立病院機構相模原病院 整形外科独立行政法人国立病院機構相模原病院 臨床研究センター、独立行政法人国立病院機構相模原病院 整形外科、東京大学大学院総合文化研究科 広域科学専攻生命環境科学系OAで痛みが生じる機序についてはまだ不明な点が多いものの、近年の主に疫学的な研究によって骨髄病変と滑膜病変の2つの病変が痛みの主な発生源であることが明らかになった1)。この2つの病変のうち骨髄病変は軟骨下骨が機械的に損傷されることで生じる変化であることから、一度発症してしまえば薬物の介入の余地は限られるのに対し、滑膜病変は細胞の挙動の変化によって生じる痛みであることから、薬物によって効果的に治療できる可能性がある。このため著者は以前よりOAの滑膜病変に着目して研究を行ってきた。Key words:変形性関節症、軟骨、滑膜、TGF-β、ウロキナーゼExploration for the mechanism(s) underlying the increase in urokinase in synovial fluid of osteoarthritic knee joints with synovial pathology 変形性関節症(osteoarthritis、以下、OA)は主に高齢者が罹患する関節疾患で、緩徐に進む軟骨の変性消失を特徴とする疾患である。OAは全身のどの滑膜関節にも生じるが、発生の頻度と障害の程度の点で最も問題となるのは、膝関節に生じるOA(以下、膝OA)である。このため本研究では膝OAを研究の対象とした。 膝OAでは痛みや腫れなど多くの症状が出現するが、臨床的に一番問題となるのは痛みである。83変形性膝関節症において滑膜病変に伴い関節液中にウロキナーゼが増加する機序の解明

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