臨床薬理研究振興財団30年のあゆみ
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J APAN RESEARCH FOUNDATION■■■■■■■■■■DNA Chip■■■■DNA Chip図1B ゲノム科学と治療学■■■■■■■■■■■■■■SNPSNP■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■図1C ゲノム科学による網羅的解析課題の1つかと思います。図1Aに示すように、健康な状態と病気の状態は、先ほどから申しますような何らかの遺伝的な背景、それと環境因子が相まって発症します。薬物を代表とするような治療は、これを何らかの形で回復させ、QOLを改善しているという図式ができます。これまで体質と今までは呼んできたわけですが、ゲノムによりまして、これを横断的に、例えばこれは遺伝子のレベルで考えておりますが、疾患、あるいは治療に関連する遺伝子群というとらえ方ができるのではないでしょうか(図1B)。従来のリサーチでは、横断的な(いわゆるゲノムワイド)サーチは不可能だったわけです。2万数千の遺伝子を丹念に読んでいくということは、今でも大変なタスクですが、これが要するに横断的にできるようになりました。その基本的なデータベースが呈示されています。これが今の現状ではないかと思います。因にわが国でも、東京大学医科学研究所の中村祐輔先生を中心として、30万人もの患者さんのご協力を得て、いろいろな多因子性疾患をゲノムワイドに、SNPというパラメータで解析するというようなプロジェクトが今進行しておりますし、わが国だけではなく、諸外国でも同じようにゲノムワイドに、横断的に解析するといったようなことが進行しているのはご存じだと思います。もう少し漫画的に描きますと、図1Cに示すように、SNPとい図1A 健康と病気うパラメータで解析するか、あるいはDNAチップを使って2万数千個の遺伝子の発現を網羅的に見て、そのパターンからいろいろな診断を行う、あるいは治療にヒントを得るといったような研究も進んでおります。SNP、DNAチップと並びまして、わが国でもノーベル科学賞を得られました田中耕一先生の発見がありますが、そういう技術ができてきて網羅的なプロテオームの解析から、いろいろな薬物治療に、あるいは診断にといったところに向かっているのではないかと思います。ここで重要な点は、従来のいわゆる薬理を代表とするような研究が行ってきましたように、動物とか、あるいは細胞とか、もちろんそれも非常に重要な実験ですが、そういう知見だけではなくて、直接患者さんから情報を得ることが可能になってきました。そこに■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■22 30年のあゆみ ー 30周年記念 行事/記念講演 ゲノム時代の臨床薬物治療学と創薬 ー■■■■■■■■■ FOR CLINICAL PHARMACOLOGY

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