臨床薬理研究振興財団30年のあゆみ
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臨床薬理研究振興財団ー 30周年記念 行事/記念講演 ゲノム時代の臨床薬物治療学と創薬 ー 30年のあゆみ 23は松田先生が専門でいらっしゃる倫理的な問題とかいろいろな問題を含みながらも、私たちが患者さんから直に病気のこと、あるいは治療のことを学ぶ基本ができます。よくいわれることですが、ベッドサイドとベンチワークが非常に近づいたということが直感されるかと思います。■■■pharmacogenomicsについて■■■その典型な例として、皆さんご存じの pharmacogenomics、あるいはテーラーメイド医療という言葉が最近良く聞かれます。pharmacogenomicsについてご紹介したいと思います。表1はいろいろな多因子性疾患、その治療薬、そしてこれらの薬が現実に医療の現場で使われた場合に、何%の方がpoor あるいはnon-responderかということが示されております。さらに、これは米国の統計ですが、副作用事象としては年間220万人の方が明らかに薬の副作用ということで入院されて、そのうちの10.6万人の方が亡くなられています。非常に大きな主要な死因の1つであるということが、明らかに統計に出ておりますし、それによって医療経済的にも7兆円、8兆円というような損失が毎年行われているということがいわれております。このよ表1 各種疾患治療薬とその治療不成功率うな背景で何とか克服できないかということから、Pharmacogenomicsに関してFDAもガイダンスを出すに至ったわけです。今後、ゲノム科学の活用で病気のより深い理解、診断、分類、予後、治療の選択、いずれにおきましても、大きく基本が変わるでしょう。キーワードは、より個別化、より良い治療、これこそ臨床薬理が昔から目指してきたことと全く同じではないかと思います。それが少し先進的な科学、あるいは先進的な技術、いろいろなものを含めて、こういう方向にどんどんと先鋭化されていくだろうと考えております。猛スピードで我々は今進んでいるわけですが、倫理的な問題など多くの問題があります。これらの問題解決も臨床薬理を目指す方々の1つのミッションではないでしょうか。最終的に安全で有効な薬物治療を完成するためには、そのような方面への目配りも非常に重要で、その方面での臨床薬理のタスクもますます大きくなるのではないかと私は思います。私の仕事の方面にお話を向けさせていただきます。ヒトのゲノムの解読に引き続きまして、実際に医療、創薬に生かす、例えばゲノムの情報、あるいはゲノムのテクノロジーを使って、私どものような基礎研究者が、創薬等に生かすことはできるのかということを少しお話しさせていただきたいと思います。2万数千の遺伝子に対して、今持っている薬はどういうinteractionするか。逆に言いますと、世界中で売られている薬物の標的分子は何種類あるかといいますと、高々500種類という数字が出ています。すなわち、たまたま人類が持ってきた薬というのは500種類ぐらいの分子を対象にして、何とかヒトの疾患を克服しようという試みをしてきた■■■ ゲノム創薬 ■■■財団法人■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■–■■■■■■–■■■■■–■■■■■–■■■■■–■■■■■–■■■■■–■■■■■–■■■■■–■■■■■–■■■■■–■■■■■–■■■■■–■■■■■–■■■■■–■■■■■■■■■■■■■

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