臨床薬理研究振興財団30年のあゆみ
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臨床薬理研究振興財団ー 30周年記念 行事/記念講演 ゲノム時代の臨床薬物治療学と創薬 ー 30年のあゆみ 25非常に市場価値も高いということで、薬を作る側の方々から考えますと、非常に良い対象です。特徴的な構造、7回細胞膜を貫通するといったような構造が考えられております。これをもう少し生化学の言葉でいいますと、7回疎水性のアミノ酸が連続して連なるということかと思います。そうしますと、先ほど言いました2万5千弱の蛋白を規定する場所の中で、このような7回疎水性のアミノ酸が連なるような構造を持つ場所は何カ所あるのか?Bioinformatics解析によると、アルゴリズムにもよりますが800位という数字が出ております。この800の中で、嗅覚とか、味覚とか、直接は薬に関係なさそうな部分もかなり含まれておりますので、そういう部分を抜いていって、なお且つ先ほど申しましたように、150ぐらいの標的はすでに見つかっておりますので、 あと残りといっても大体150ぐらいだと言われております。しかし、ご存じのようにこの150のいわゆる受容体のligandは不明のGPCR、“孤児”の受容体、オーファンの受容体と呼ばれておりますが、そのligandを探し出すことが、今薬物の開発上非常に有益です。■■■ 肥満・糖尿病・腎炎 ■■■最初の話は肥満・糖尿病の関係の話です。わが国でも近年肥満の方は増えてきましたが、世界中で非常に大きな問題です。アメリカではCDCなどの統計をもとにしますと、この10年に爆発的にobesityというのは問題になっています。obesityは、糖尿病等のrisk factorです。わが国でも、糖尿病は国民病といわれるぐらいの人数になってきております。我々としては、この疾患を何とか違う切り口でできないかということで、 in silicoのデータベースの中から、消化管に多く発現するような受容体をサーチをしていました。最近膵臓のインスリン分泌を促すホルモン、インクレチンホルモンと総称しますが、中でもglucagon like peptide-1(GLP-1)が注目されています。糖尿病の治療薬としてGLP-1のpeptidase, DPP4という特異的なpeptidaseがありますが、そのinhibitorが今年から上市されます。そのような背景で、1つ重要な点は、何がこれのtriggerになってGLP-1が分泌されているのかという生理メカニズムがわかっておりませんでした。たまたまですが、私どもが見つけましたのは、腸管に多く発現する受容体というものを追求しておりましたら、このGLP-1を分泌するセンサーになるということがわかったわけです。すなわち、図2に示すようにゲノム情報から抽出したGPR120というGPCRが実は遊離脂肪酸、長鎖不飽和遊離脂肪酸をligandとしてインスリン分泌を行う。GLP-1のsecretionを促進して、インスリンの分泌を促進する。あるいは満腹中枢を抑制するといった、まさにこれがセンサーであったということがわかりました。したがって、GPR120をターゲットとした、例えばagonistというものを介しますと、これが増強されるでしょうし、またこれらと先ほど申しましたDPP4のinhibitorが組み合わさることによって、さらに強力なものが出来上がるのではないでしょうか。抗肥満、あるいは抗糖尿病のいい標的になるのではないかと思います。次に、DNAチップのことをお話ししたいと思います。DNAチップを用いてどのようなことができるか, 基礎的な研究を最初にお話しします。我々は、特に腎臓とか、肺とか、まだ薬物治療が成熟していないような組織の治療薬を見つけたい、と考えています。1つは腎臓、特に腎炎、ご存じのように透析患者さんの統計などを見ますと非常に増加しており、現在、25万人の方が透析を受けています。新規導入の患者さんは年間3万4千人ということで、非常に医療経済上も大きな問題です。1兆円を超しているといわれております。腎不全の原因ですが、糖尿病性腎症と腎炎が大半を占財団法人

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