臨床薬理研究振興財団30年のあゆみ
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J APAN RESEARCH FOUNDATION (CRC)の誕生■■■ ICHとGCP■■■■■■治験コーディネーター中野 CRCが同じ1998年に誕生しました。CRCというのはclinical research coordinatorですが、日本では治験コーディネーターと言うことが多いのですが、正確にいえば臨床研究コーディネーターです。CRCが治験を支援する時、治験コーディネーターとして働く、という言い方が正しいと思います。CROはもう少し前、1994年頃に、CRO協会ができています。わが国の治験環境を改善するためには、医師をトレーニングするのが早いのか、その周辺の協力者を育てるのが早いのか、という議論をしましたが、周辺の協力者を育てた方が早いだろうと考えてCRCの養成を選びました。CRCの養成に関しては、その後すごく進んでいます。まず厚生労働省が1998年にCRC養成研修を始めました。日本看護協会も始めました。1998年のうちに文部科学省も病院薬剤師会も始めました。それから少し遅れて臨床衛生検査技師会が始めています。今は、この五つの団体が研修、育成を行っています。CRCの認定も私共の日本臨床薬理学会でお手伝いした方がいいということで、先ほどの認定医の認定、認定薬剤師の認定制度に続いて、第3番目の認定制度が認定CRC制度となりました。昨年から学会認定CRC試験を行っています。現在認定CRCは335名になります。認定医と認定薬剤師、それぞれよりも多くなりました。認定CRC試験の受験者の数はすごく多いのが現状です。昨年の第1回認定CRC試験では344名の申請がありました。その中から最終的に合格した人が211名です。合格率は2/3弱で、かなり厳しい試験になりました。して参加していましたがとっても真面目な検討会で、各界の多くの方が参加していました。そこでほぼ半分の時間は日本の治験の現状を洗い直すという作業でした。日本でどのように治験のあり方を変えないといけないかがディスカッションされました。■■■臨床試験の流れを変えた中野 それからもう一つ大きな流れとして、1990年代に入ってICH(international conference on harmonization)の動きがあります。薬は日本人だけに効く薬とか、米国人、あるいはヨーロッパ人だけに効く薬というのはあり得ないだろう、人類共通だろうと考えられますが、それぞれの地域で治験を実施しないと承認されなかったことから、実施に伴う時間、費用、人的資源のむだが多く、データを相互に利用できるようにしようという、主としてアメリカからの呼びかけで、つまり、globalizationの動きですが、ICHでgood clinical practice(GCP)が作られました。日本ではGCPが1989年に出ていますが、日本の治験の実施方法を変えようということになって、ICH-GCPを下敷きにするような形で新GCPが作られ、1997年3月の薬事法により法制化されました。それから大きく日本の治験環境が変わりました。1998年の4月1日から新GCPが完全実施ということになって、1998年の新GCPの完全実施の年に私が日本臨床薬理学会を別府で開催したということになります。日本臨床薬理学会の中での治験を含む臨床試験の取り上げ方も、このあたりから重点の置き方が大きく変わってきたように思います。42 30年のあゆみ ー 30周年記念 座談会 薬物治療の進歩と臨床薬理学 ー FOR CLINICAL PHARMACOLOGY

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