臨床薬理研究振興財団30年のあゆみ
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J APAN RESEARCH FOUNDATIONことになりました。先生方のご意見をお聞きしました結果、新薬の開発および薬物療法に重要な役割を果す臨床薬理学が、日本の大学教育制度の中で一つの学問体系として育っておらず、先進諸外国に比べ大変遅れており、且つ発展のための援助の少ない領域であるとのご意見と援助のご要望を頂きました。検討の結果、企業の持つビジョン・価値観・専門能力に合致した社会貢献の事業として、「臨床薬理学の普及と研究者の育成」を設立の目的とし、臨床薬理研究振興財団を立ち上げることにしたわけでございます。当時としてはまだ比較的新しい学問領域であった臨床薬理学の重要性に着目した研究の助成は、今にして思えば大変慧眼であったと思います。医学界の第一級の先生方に設立発起人になっていただきまして、厚生省の認可も非常に早かったと記憶しております。爾来30年、皆様のご協力によりましてここまで発展してまいりましたことは大変ありがたいことだと思っております。財団の基本財産は1975年に5千万円からスタートし、臨床薬理研究振興財団の使命私が社長になった1985年頃には3億程度でその後、逐年増額してきました。他の会社の財団の設立経緯については、創業者が亡くなった時に、株式の分散を避けるとか、遺産相続、故人の持株を原資にして作ったというようなところが大部分ですが、それらとは異なり、企業の収益の一部をもとにした当財団が、今日これまで着実に発展できたことは、本当に私にとってはありがたいことでございます。海老原 どうもありがとうございました。今お話がありましたように、非常に早くから臨床薬理ということに注目してくださって、臨床薬理をテーマとして演題を募集し、事業を展開していくというのは、この財団ぐらいだったわけです。■■■研究奨励金、研究助成金、海老原 この30年間、臨床薬理研究振興財団のおかげで、多くの研究が行われ、論文もたくさん作られました。このように本財団は日本の臨床薬理学の発展に非常に大きな役割をはたし、またそのために多くの臨床薬理学者が育ったと考えられます。そのへんのことについて藤村昭夫先生からお話しいただきたいと思います。藤村私は1982年に日本臨床薬理学会に入会し、今年で23年目になります。まず財団が行ってきたこれまでの研究助成事業についてお話いたします。私自身が財団に非常にお世話になり 海外留学等補助金■■■藤村 氏44 30年のあゆみ ー 30周年記念 座談会 薬物治療の進歩と臨床薬理学 ー FOR CLINICAL PHARMACOLOGY

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