臨床薬理研究振興財団40年のあゆみ
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Japan Research Foundation for Clinical Pharmacology一般社団法人 日本臨床薬理学会 理事長国立大学法人 浜松医科大学医学部 臨床薬理学・臨床薬理内科 教授公益財団法人 臨床薬理研究振興財団 理事渡邉 裕司1140周年に寄せて 臨床薬理研究振興財団が創立40周年を迎えられたことを、心よりお慶び申し上げます。 これまで貴財団が日本の臨床薬理学の発展に果たされた役割に敬意を表しますとともに、日本臨床薬理学会の活動への日頃のご支援に深く感謝申し上げます。 臨床薬理学の重要なミッションには、薬物動態や薬力学、ゲノム薬理学などの臨床薬理学的知識や情報に基づく患者への最適な薬物治療の提供、すなわち個別化治療の確立と、治験・臨床試験を通じた新たな医薬品や医療技術の開発、エビデンス発信、が挙げられます。前者については、分子生物学やゲノム解析技術の飛躍的な進歩に伴い、副作用を回避して効く人にだけ効く薬を届けることが可能となりつつあります。後者については、早期探索的臨床研究拠点や臨床研究中核病院の整備、国からのファンディングを一元化した日本医療研究開発機構(AMED)の発足、さらに薬事承認の迅速化などレギュラトリー対応にも近年大きな変化が見られ、日本からの医薬品創出、エビデンス発信の体制は着実に整備されてきました。ただ、いくら体制が整ってきても、それを担う人材が育成されていなければ十分な成果は期待できません。日本から生まれた医薬品や医療技術が世界の患者の医療に貢献する、そのような私たちの共通の目標の実現のためには、国際的な視野を持ったコミュニケーション能力の高い人材が欠かせず、海外留学はそのような人材育成の貴重な機会となります。臨床薬理研究振興財団は発足当時から若手研究者の海外留学を手厚く支援され、その成果は財団が毎年発行する「臨床薬理の進歩」の第1号から続く海外留学及び海外視察報告(第24号からは海外留学等補助金報告)に示されています。また財団が交付する研究奨励金は臨床薬理学を志す多くの若手研究者の研究を助成し、彼らは現在日本全国で活躍され臨床薬理学の発展に貢献されています。さらに、平成2年に財団が創設した「臨床薬理研究振興財団賞」は重要な臨床薬理学的研究を奨励し優れた研究論文を顕彰することにより、わが国の臨床薬理学の発展・普及と医療の向上に資することを趣旨とし、これまで多くの研究者に「学術奨励賞」や「学術論文賞」を贈呈して来ました。日本臨床薬理学会はその審査・選考並びに日本臨床薬理学会学術総会時に学会理事長から表彰するという重要な任務をお引き受けし今日に至っており、財団との貴重な接点と考えています。 このような人材育成や研究助成に長年継続して取り組んでこられた臨床薬理研究振興財団に改めて敬意を表するとともに、さらなるご発展を心よりお祈り申し上げます。臨床薬理研究振興財団40周年に寄せて40年のあゆみ

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