臨床薬理研究振興財団40年のあゆみ
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国立大学法人 熊本大学 名誉教授北海道医療大学 元学長公益財団法人 臨床薬理研究振興財団 評議員松田 一郎1440周年に寄せて 私が臨床薬理研究振興財団の評議員として参加させていただくことになったのは平成3年で、熊本大学医学部で小児科教授として勤務していたときでした。それから、もう24年がたちます。どなたの推薦で、このような要職につけていただいたのか、仔細は存じませんが、私の推測では、昭和50年に、旭川医科大学小児科の故吉岡一教授と共に「発達薬理学研究会」(その後「小児臨床薬理学会」に移行)を立ち上げ、また日本小児科学会に薬事委員会ができたとき、最初の委員長を務めたことなどが、その理由かなと思っています。 昭和50年当時は、成人に使用される薬で、小児への投与が承認されていた医薬品は― 日本だけでなく他の先進国でも含めてですが ― 極めて僅かで、そうした状況は「TherapeuticOrphan」と呼ばれていました。その後、アメリカ、ヨーロッパ、日本の間でICHが協定され、特に小児についてはICH11が発刊され(最近、改訂版がでました)、それに呼応する形で、日本でも小児での治験研究を推進するために、平成10年から、厚生科学研究「小児薬物療法における医薬品の適正使用の問題点の把握及び対策に関する研究」が始まり、現在に至っています。こうした動きのなかで、香川大学の前伊藤進教授(医師主導型治験研究)を始め、何人かの小児科医が公益財団法人「臨床薬理研究振興財団」からご支援いただくことができました、小児科医のひとりとして改めて深く感謝する次第です。 恐らく、どなたが触れられるとは思いますが、最初は、例えば今年は「糖尿病の治療」というように、研究課題をあらかじめ決めて、募集していました。近年になりこの研究課題の設定を取りやめたことで、研究の幅、内容いずれも素晴らしい成果をあげるようになったと思います。ところで、最近の『New England Journal of Medicine』、『Lancet』など一流の総合医学誌をみていますと、毎号のよう医薬品の臨床研究が載るようになりました。このように臨床薬理学が広く発展することを思い描いて、昭和50年に、財団法人「臨床薬理研究振興財団」を立ち上げた先達の方々の、熱意、洞察、決意に、改めて深く敬服する次第です。今後の益々の発展を祈念いたします。臨床薬理研究振興財団40周年をお祝いして

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