臨床薬理研究振興財団40年のあゆみ
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Japan Research Foundation for Clinical Pharmacology3140周年に寄せて薬物誘発性肝障害予測への応用』の課題で研究費の援助を頂き、遺伝子導入だけでなく、3次元(共)培養法を組み合わせることで、より成熟した肝細胞の作製に成功し、研究を大きく発展させることができました。また、このようにして分化誘導した肝細胞が、初代培養ヒト肝細胞に匹敵する薬物代謝酵素の遺伝子発現や活性を示し、肝毒性を示す薬剤に対して初代培養ヒト肝細胞と同様に細胞毒性を示すことを実証できました。なお、本研究は、第6回(平成25年度)臨床薬理研究大賞に選出されました。 医薬品開発過程で正確に肝毒性を評価することが困難な原因として、薬物代謝酵素の活性に個人差(10倍〜1000倍以上)が大きいことが挙げられます。そこで、現在は、本研究をさらに発展させて、様々な薬物代謝酵素活性を示すヒトiPS細胞由来分化誘導肝細胞を作製し、個人差を反映したより正確な肝毒性予測が可能な評価系の開発を目指して研究を進めています。 このように、私が進めてきたヒトiPS細胞から肝細胞への分化誘導研究は、本研究を行う以前から進めてきたアデノウイルスベクターの開発研究や、様々な幹細胞からの分化誘導研究が土台となっています。若い研究者の方には、是非将来の自身の研究の土台になるような研究をしっかりと進めていって欲しいと思います。謝辞研究助成を賜りました公益財団法人臨床薬理研究振興財団に深く感謝致します。40年のあゆみ

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