臨床薬理研究振興財団40年のあゆみ
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第7回(平成26年度) 臨床薬理研究振興財団研究大賞 受賞者東北大学大学院薬学研究科 生活習慣病治療薬学分野 准教授平塚 真弘3240周年に寄せて この度、臨床薬理研究振興財団におかれましては、設立40周年を迎えられますことに対し、心からお祝い申し上げます。 私はこれまで、臨床薬理研究振興財団より、平成15年度「メルカプトプリン投与患者における肝障害発現に関するキサンチンオキシダーゼ遺伝子多型の解析」、平成19年度「日本人集団におけるCYP2D6遺伝子多型と酵素機能変化のファーマコゲノミクス解析」、および平成23年度「遺伝子多型に由来するチトクロームP450バリアントの網羅的酵素機能解析と代謝予測系の構築」の研究テーマで、3度に亘り研究助成金をサポートして頂きました。さらに、平成23年度の研究内容を高く評価して頂き、平成26年度に第7回研究大賞を頂きました。競争的研究資金を獲得することが非常に困難になってきている昨今に、長きに亘り研究費を助成して頂いた財団関係者の皆様には本当に感謝の気持ちでいっぱいです。 研究大賞の対象となった研究テーマでは、抗凝固薬ワルファリンの代謝酵素であるCYP2C9の遺伝子多型バリアントを32種類作製し、それぞれの酵素活性の変化をInvitroでの酵素反応速度論的解析とIn silicoでの三次元構造ドッキングシミュレーションによって評価しました。最近は、CYP2C19で21種類、CYP1A2で20種類、およびCYP2C8で12種類の遺伝子多型バリアント酵素についても、網羅的な機能解析に成功して論文発表しており、財団に助成して頂いた研究テーマはさらに大きく進展しました。 現在は、4年前の東日本大震災直後に設立された東北大学メディカル・メガバンク機構が行った沿岸住民約1000人分の全ゲノムシークエンスデータを基に、薬物代謝酵素遺伝子上に存在するアレル頻度5%以下のレアバリアントが、酵素活性にどのような変化を及ぼすのかをIn vitroにおける発現酵素機能解析により評価しています。これらの結果は、日本人に特徴的な薬物代謝酵素の遺伝子多型が、医薬品の体内動態、薬効、あるいは副作用発現の個人差にどのような影響を及ぼすかを予測するための基礎データになると期待されます。私は、平成19年度の研究テーマでは研究大賞を頂くことができず、当時、自分の実力のなさを痛感致しました。平成23年度の研究テーマで助成を頂いた際には、「研究大賞を頂けるような結果を残そう」と自分を奮い立たせましたので、研究大賞内定の連絡をメールで頂いた時は、大変うれしく、3度の助成金

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